でかけたとき日記

すべては充実した老後のために!

新作映画『バックルームズ』見てきたので考察します

 

ちょっと気になっていた『バックルームズ』見てきましたけど、ホラーでした、、、

めっちゃ怖いんですよ。私は『CUBE』みたいな、怖いんだけどホラーではなく、知的かつ論理的な怖さの映画かなと思って見に行って、確かに『CUBE』みたいな作品なんですけどもっとずっと怖かったです。

そしてこちらも難解でした、、、

 

どんな話かというと、

建築家になりたかったのに挫折して、今はしがない家具屋を経営する黒人男性クラークが主人公。妻と別れたこともダメージになって、セラピーに頼る生活。

そんなある日、彼は自分が経営する家具屋の電気代が異常に高いことに気がつき、電気屋を呼んで色々調べますが、ブレーカーに妙なスイッチがあるのを発見しただけで、ちゃんとした原因はわからず仕舞い。

クラークは家具屋に泊まり込んで原因を探りますが、そんなある晩、地下の壁のある一点が妙な空間に繋がっていることを発見します。

その向こうは奇妙な部屋が延々と連なって迷路のようになっており、クラークは従業員も巻き込んで探索を続けますが、従業員の一人は何者かに殺され、もう一人は行方知れずになってしまいます。

そこへ様子がおかしいクラークを心配したセラピストが、クラークの後を追って、その迷路に入り込む、、、

という話。

 

チラシです

 

すごく難解でしたね。。。見終わってすぐの感想は「なんじゃこりゃ」でしたもん。

何が難解だったかというと、その迷路がいったいなんなのかが分からない。中にはピカソの絵みたいな顔になってしまった住民?が住んでるんですけど、彼らが何者なのかが分からない。何やら化物みたいなのも住んでいて襲ってくるんですけど、それらも何者なのかが分からない。建物の部屋もシュールな部屋で、形も変だし、家具が床にめり込んでいたりして、なぜそんな風なのかが分からない。入るたびに形や家具の配置が換わっていたりして、それもなぜだか分からない。中に入ると何者かに教われて命を落としてしまうみたいですけど、それがなんでなのか分からない。

途中でセラピストの女性が迷路に入り込み、その後放射能防護服を着た男たちに助けられますが、その男たちがどこの誰なのかが分からない。彼らは考古学者よろしく迷路の謎を解明しようとする研究機関の職員たちみたいですが、結局彼らも謎を解くまでには至らない。

そして種明かしもないまま映画は終わります (もしかしたら種明かしされていたのかもしれませんが、難しくてわかりませんでした)。

というわけで、分からない、分からない、分からないことばかり。

とにかく私にはさっぱり分からず、映画が終わってしまいました。

 

じゃあつまらない映画なのかと言えば、そんなことはないんですよ。結構傑作なんじゃないでしょうか。

というのも、見終わってからあれこれ思い出しながら考えて、「もしかしたらこういう映画だったんじゃないか」と思って、もしそうだとすると結構面白い、興味深い作品だと思うからです。

 

ムビチケで見ました

 

というわけで、ここからは考察です。

といっても一回しか見ていないので確認はしていないのですが、、、

 

結論から言うと、あの迷路はクラークの混乱した頭の中だと思います。でも、そこは途中で参加してくるセラピストの頭の中でもあり、映画には出てこない誰かの頭の中でもあるのだと思います。

クラークが発見した入り口はクラークの頭の中に入るための入り口であり、世界中に同じような誰かのための入り口があり、それらが入り交じっているため余計に迷路は広大かつカオスになっていく。

そしてその迷宮への入り口を発見してしまうタイプの人は、心が健全な人ではなく、心を病んでいる人たちなので、当然世界はカオスでホラーになっていると。

 

主人公のクラークは、先にも書きましたけど、妻に出ていかれた(追い出されただったかも)ことがかなりのトラウマになっています。そしてセラピーに通っているわけですけど、そのセラピストとの会話のなかで、彼は自分の職業に対してのコンプレックスまでもさらけ出します。彼は家具屋のオーナーなのですが「自分は建築家だ!」と激昂する。家具屋にすぎない現実の自分を認められないわけです。

そんなクラークが入り込む迷路の中が、クラークが経営する家具屋の中によく似ているのは、そこがクラークの頭の中だからです。

 

その迷路はクラークの ”記憶の中” ですから当然曖昧です。

尚且つあらゆる時間軸、あらゆる角度が混じりあっているので、そこに出てくる人間らしき者の顔はピカソが描く絵みたいに、鼻が色々な角度でたくさん付いていたり、目がたくさんついていたりしてしまう。

 

クラークは最初こそその迷路に怯えていましたが、そのうち馴染んでいきます。あんな世界、ホラーでしかないのにクラークは馴染んで、そこにいる化け物と一緒に生活している。

あれはクラークの頭の中だから、本人は馴染めちゃうんだと思います。でも途中で入ってくるセラピストにとっては他人の頭の中だからホラーでしかない。

 

ところで途中で差し込まれる映像の中に、どこかの部屋に閉じ込められて、外を見ることすら許されない女の子がでてきます。

そして迷路の中には、その家と良く似た部屋も出てきて、そこにある家具が床にめり込んでいたりする。

あの女の子はセラピスト自身で、彼女はそういう生い立ちだったんだと思います。セラピスト自身もまた、過去のトラウマを抱えている。

 

セラピストはたまたまクラークの入り口から入ってしまったのでホラー体験になってしまいましたが、本当は自分のために入り口もあったんだと思いますね。

自分のための入り口から入っていれば、他人から見ればホラーでしかない空間でも、彼女自身は馴染んでいけたんじゃないでしょうか。

 

そしてそんな、心が病んだ人達の混乱した頭の中が具現化して、無限に広がっているのを発見したら、そりゃあ専門の研究機関が無数の心理学者を雇って送り込んでも、なかなか解明することは難しいんじゃないでしょうか。

しかもそれが、心が病んだ大勢の人たちの数、入り交じっているのだとしたら尚更です。

 

自分の心や記憶でさえもカオスだろうからなあ、それが他人のものだったら尚更ホラーだろうしなあと、そんな風に思った映画なのでした。