最近ですけど、本を買うのは毎月2冊までと決めました。なぜなら積読本が山のようにあるからです!
私はどうやら毎月4~5冊くらい読んでるみたいなので、買う本を2冊までに決めれば、積読本が段々減っていくだろうという算段。
というわけで、これが2025年12月に買った本と、読んだ本です。
2025年12月に買った本
『図説 拷問全書』秋山裕美/著

12月は我慢して、買うのは一冊だけに厳選しました。面白そうでしょう笑
私、魔女狩りとか、異端審問とか、江戸の刑罰とか、そういう本を過去に数冊読んでいるのですが、今回もその一連の本です。
でも私はサドとかマゾとか、そういう指向は全然ありません。
人間ってすげえなーと、こんなことが出来る人間の可能性(あるいは逆の可能性)に興味があるだけです。
2025年12月に読んだ本
『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド/著

★★★
友人の画家に自分の肖像画を描いてもらった美貌の青年ドリアン・グレイが、「永遠の若さ」を願い、自分が老いる代わりに絵の方が老いるよう願をかける。その結果、友人らが年を取っていく中、ドリアンだけはどんなに堕落した生活をし、どんな悪徳に手を染めても全く年を取らず、美貌も衰えず、ずっと若く美しいままだった。しかし人生はドリアンに報いを与える、という有名な話。
何度も映画化されていて、私は1945年版と1970年版を見ています。
映画を見ていて話も知っているのに、読み終わるのに10日間くらいかかってしまいました、、、つまらない訳じゃないんですけど、ヘンリー卿が何を言ってるのか皆目わからなくて笑
主人公ドリアンに大変な悪影響を与えるヘンリー卿は、とにかくやたらと理屈っぽくて、それも逆説的で皮肉屋で、口にする言葉が全てひねくれたことばかり。
物事をまっすぐ見ず、斜めから見たり、裏側から見たり、裏返したりして、したり顔で物を言って、なんでもお見通し、真実を知っている気になっているお方。
その彼が、全編を通してずーーーーーーっと喋り続けるんです。訳の分からないことを。
私はヘンリー卿が言っていることが全く理解できませんでした。そのせいでドリアンの悲劇に集中できなかった(おはなし自体は簡単な話なのに)。
でもドリアンの行く末を見たら、ヘンリー卿の話なんか理解できなくて良かったのかもしれません。
心底思いますけど、誰が邪悪で悪魔だったかって、それはヘンリー卿ですよね。
ドリアンは「自分の若さと美貌がわが身を亡ぼした」みたいに最後言っていましたけど、私は違うと思いますね。ヘンリー卿ですよ。ドリアンは影響されやすい、ただの若者です。反省したり、後悔したり、自分の行為に怯えたりもしていて、大した悪人じゃない。
ヘンリー卿こそ悪魔と取引して、ドリアンを間違った方向に誘導していたと思いますね。
ヘンリー卿さえいなければ、ドリアンは若くて美貌で、それなりにピュアで、大変チヤホヤされて、でも初恋では苦い思いをして破局して、人生に失望して、生命の不完全さや儚さを知って、でも友人には恵まれて、同性愛にも悩まされつつ、それなりに不幸でそれなりに幸福に死んでいけた気がします。
映画だと分かりにくくなっていますが、誰をメンターとするか、誰を友人として選択するか、その大切さもこの作品のテーマの一つなんじゃないでしょうか。
『呪われた村』ジョン・ウィンダム/著

★★
こちらも映画『未知空間の恐怖/光る眼(1960)』『続・光る眼/宇宙空間の恐怖(1963)』『光る眼(1995)』の原作です。
中でも『未知空間の恐怖/光る眼(1960)』は雰囲気があって結構見られる作品なのですが、ちょっとよく分からない所もあるので原作を読んでみようと思いました。
ある小さな村の人々が全員一斉に眠ってしまう事件が起こる。やがて目を覚ますと、村の女性が全員妊娠していた。そして一斉に出産すると、生まれてきた子供たちはみな金色に光る眼と超能力を持っていて、人類を脅かす、という話。
映画もまあまあなのですが、原作もやはり「まあまあ」くらいの出来。映画版よりも動きがなくて、実に淡々としてドラマがないんですよ。事件らしい事件がない。
退屈、、、でしたね。今や古本しかなくて、再販されていないのがその証拠でしょう。
光る眼ものは、映画1960年版が一番楽しめると思いますね。
結局、映画では分からなかった子供たちの出自ですが(『続』は別)、原作だとはっきりと宇宙人でした。ただし原作でも、彼らが何を目的としているかまでは分かりませんでした。
『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳+グループ現代/著

★★★★
再読です。数年前にkindleで買って読んで、文庫本で買い直しました。
お金の本というと大体、「お金持ちになる方法」か「お金にまつわる社会のしくみ(金融や経済など)を知る系」がほとんどかなと思います。
この二つがさらに分岐して、例えば「お金持ちになる方法」なら、「投資やビジネスでお金を増やす方法」と「節約本」に分かれる、みたいな。
最近だと、また別のベクトルである「お金がなくても豊かに幸せに生きられる方法や考え方」みたいな、スピ系、生き方系もたくさんある気がします。
でもそれらは、今のお金や経済の仕組みを肯定した上で論を展開しているケースがほとんどです。当然ですよね。だってお金持ちになりたいんだもん。今のルールを勉強して、そのルールに則ってお金持ちになろうとしているわけです。
一見、今のお金や経済のしくみを否定しているように思えるスピ系、生き方系だって、お金の仕組みに挑戦しているわけではなく、動かしがたい現実だから、そこから出て行こうという行為に過ぎません。
でも本書はそのどれとも違っていて、「お金のあり方」を根本から問い直そうという、稀有な内容です。
私たちの世の中が、「金、金、金」の化け物みたいな資本主義になってしまった原因は「私たちは利子の奴隷だからである」と喝破して、「減価する貨幣」「老いる貨幣」という概念を打ち出してきます。
この世のすべては全て老いるか減価するのだと。物は壊れるし、劣化するし、生き物は老いて、衰えていく。あらゆる物質がそうです。
なのにお金だけは違って、決して劣化しないし衰えない。その秘密は利子にあって、時間が経てば経つほど価値を増してしまうのだと。
そんな存在はお金しかない。この不自然さが、今の社会の歪みを作っているのだと。
そして本書では、「減価する貨幣」あるいは「老いる貨幣」を取り入れた町をいくつも紹介してくれます。
簡単に言うと、私たちの1万円札の裏にマス目があって、そこに毎月10円とか20円とかのクーポンを買って貼らないと使えなくなるみたいなイメージです。なので持っていれば持っているほど価値がなくなっていく。
今みたいに5年も10年も溜め込んでいると、どんどん価値が減ってしまうので、みな早く使おうとする。すると経済が回り始めるわけです。
こういう風にお金や経済の在り方を考えさせてくれる本なのですが、これらがファンタジー作家の大御所、ミヒャエル・エンデとの対話から始まるというのも意外性があります。
エンデと言えば『モモ』や『果てしない物語』ですけど、これらにそんな深いテーマが隠されていたなんて、、、と驚くこと請け合いです。エンデの読者はすでに「エンデは深い」と思ってるでしょうけど、もっと深いんです。
そんな感じに色々な意味で稀有な内容なので、お金や社会の仕組みに興味がある方にぜひお勧めしたいです。
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